たんぱく質の摂取量には上限がある?摂り過ぎることは?

Is there a max amount of protein?

たんぱく質を摂ることの重要性を語るときには、摂りすぎの可能性が話題に挙がることがあります。たんぱく質の摂取量には一定の上限があるのかということや、限度を超えてたんぱく質を摂った場合、無駄になったり悪影響が出たりするものなのかという疑問が出てきます。

今回の投稿では、1食あたりや1日あたりの摂取量に関する研究を紹介しながら、たんぱく質はたくさん必要なのか、メリットはあるのか、心配するべきことはあるのかといったことを考えます。

たくさん摂ると悪影響があるか?

たんぱく質には「推奨量」というものが定められています。これは98%ほどの人にとって不足が出ない量で、細かく見ていくと年齢や性別などの条件によって違いがありますが、一般的には体重1kgあたり0.8gほどが推奨されることが多いです。

高たんぱく質の影響を調べた研究では、筋トレをする人が体重1kgあたり1日2.51〜3.31gを1年取り続けて、健康への悪影響は見られなかったと報告しています。一般人向けの推奨量と比べて3〜4倍のたんぱく質を摂ったということです。

ヨーロッパにある食品の安全に関する評価機関によると、体重1kgあたり0.83gが推奨量ではあるが、一般成人ではこの2倍を摂っても安全だとしており、2.49〜3.32gの摂取量で悪影響がなかったとの報告も確認されています。

その一方で、たんぱく質をたくさん摂ると危険だという考えは、腎臓病患者を対象とした研究から始まりました。腎臓病を持つ人によっては、たしかにたんぱく質を摂り過ぎると良くない可能性があります。

しかし、これは腎臓病を持たない人にも同じように当てはまるわけではありませんし、たんぱく質をたくさん摂ると腎臓の機能に悪影響が出ると言えるわけでもありません。

健康に不安のある人は医師からアドバイスを受けてもらうとして、この投稿では健康な人を対象として話を進めます。

健康な人であれば、たんぱく質の摂り過ぎで起きる最もリアルな問題は、炭水化物と脂質とのバランスが保てなくなるということです。 例えば、全体のカロリー摂取量が低いのに、たんぱく質を非常にたくさん摂ろうとすると炭水化物と脂質を制限することになります。これで日常の活力を保ちにくくなったり、食生活に制限が多くなって長く続けにくくなったりする可能性があります。

ただ、三大栄養素のバランスを保ちつつ、たんぱく質を多めに摂るのは安全でメリットも期待できます。

1日あたりの摂取量

たんぱく質をどれだけ摂ってもいいかに良いかに答えを出すには、健康や運動パフォーマンスのために最適とされる量と、摂取量の上限を区別して考える必要があります。摂取量の上限とは、健康に害がなく安全で、効果が期待できる量ということです。この二つの違いを理解して、摂取量を考える必要があります。

たんぱく質を摂る効果は人によって違いがあり、特に筋トレをしていて筋肥大を重視する場合には重要になります。2020年に過去の研究データをまとめた論文では、基本的にたんぱく質は筋量を高く維持するのに有効とされています。

この論文では、筋トレをしていない人については体重1kgあたり約1.3gまで効果があるものの、それ以上摂っても効果は頭打ちになるようだと報告しています。

ただし、筋トレをしている人を対象にすると体重1kgあたり1.3gを超えて効果が伸びると期待できるようです。たんぱく質の摂取量が高くなるほど効果の伸び方は緩やかになっていくようで、例えば、体重1kgあたり1.0gから1.3gに増やす場合の方が、1.5gから1.8gに増やす場合よりも効果の伸び幅は大きくなりそうだということです。

それでも、現在までの研究で確認できる範囲では、筋トレをしていない人のように明確に効果が頭打ちになるわけではないようです。

つまり、筋トレをしているかが重要な分かれ目になるということです。筋トレをしていない人は、体重1kgあたり約1.3gがひとつの目安になり、筋量アップを重視したい人は摂取量を増やすと効果が高まる可能性はあります。ただ、どの程度まで効果が得られるのかは現在も明確な答えが出ていません。

この投稿の冒頭では、体重1kgあたり0.8gが推奨量とされると紹介しました。この値を引き上げるべきではないかという議論もあり、例えば高齢の方や体脂肪を落とすために減量を行う人は、たんぱく質を多めに摂るとメリットがあると考えられます。

必要量を決める要素はいろいろある

たんぱく質がどれだけ必要かを決める要素はいくつかあって、各個人の摂取上限もこういった要素が影響し合って決まります。特に重要なものを簡単に紹介します。

体重

たんぱく質の摂取量を決めるのに最も重要な要素が体重です。体重が大きい人は除脂肪体重や内臓が大きく、基礎代謝も大きくなる傾向があり、たんぱく質の必要量も大きくなります。

たんぱく質の摂取量を決めるときには、現在の体重だけでなく、目標の体重、除脂肪体重、目標の除脂肪体重などを考慮して計算する方法があります。

身体活動量

体重によって基礎代謝や全体のカロリー消費量が変わり、それによってたんぱく質の摂取量も変わるわけですが、活動量が大きいと、体重以上にカロリー消費量に大きな影響を与えることがあります。

例えば、1日に3500kcal以上消費するような人も居て、こういう人は必然的に各栄養素の摂取量も大きくなります。一般的には全体のカロリー摂取量を確保するために炭水化物を増やすものですが、たんぱく質もやや多めにするのが良い場合もあります。

年齢

わたし達の身体は年齢を重ねると、体内で筋肉のたんぱく質が合成されにくくなります。たんぱく質の摂取量を増やすと、筋たんぱく質合成を促進する効果があるので、高齢の方は推奨範囲の中でたんぱく質を意識的に多めに摂るのが良い場合があります。

目標

どういう目標を持って食生活を組み立てるかによって、たんぱく質の摂取量は変わります。また、筋トレを行う場合にはトレーニングの強度や経験レベルによってもたんぱく質の摂取量が変わります。

例えば、減量中はたんぱく質を多めに摂ると筋肉が落ちてしまうのを防ぐ効果が期待できます。また、筋トレを行う場合は持久系トレーニングよりも、回復のためにたんぱく質を必要とします。また、持久系トレーニングを行う人も運動を行わない人と比べると多くのたんぱく質を必要とします。

動物性食品を摂るか

ビーガンやベジタリアンのように動物性食品の摂り方に制限を設けている人は、良質なたんぱく質を確保しにくくなる可能性があります。たんぱく質に不足が出ないようにするには、全体のたんぱく質摂取量をやや多めに設定するのがシンプルな対策として有効です。

1日の摂取上限について

ここまでの内容から、1日のたんぱく質の量を確保することが重要だと理解してくれた人が多いでしょう。

次に、1日の摂取上限については、1食あたりどれだけ摂るべきかという角度から語られることがよくあります。1日の摂取量を決めたとして、その効果を最大限に得るためには食事を何回に分けて摂るべきかということで、長く議論の続いているトピックです。

たんぱく質をたくさん摂ると、すべてを使い切れないのではないかと言われることがあります。すべてが身体の機能を保ったり、筋肉などの組織を作ったりするために使われるのではなく、ある意味無駄になってしまうのではないかということです。

たんぱく質が無駄になるとは、そもそも吸収されなかったり、エネルギー源として燃焼されたり、体脂肪として蓄積されることになるのではないかと言われます。

たんぱく質を使える量には限界があるのか?

わたし達の身体は1食ごとにたんぱく質を一定量までしか吸収できないと考えられていた時期がありました。この考えの背景には、食後の身体の反応を調べた研究がありました。

これらの研究では、たんぱく質を摂ったあと4時間かけて筋たんぱく質合成が観察され、その結果として、たんぱく質の摂取量を増やすと筋たんぱく質合成はある程度高まるものの限度があると報告されました。

つまり、1食あたりのたんぱく質を増やせば増やしただけ効果が高まるわけではないということです。

ひとつ例を挙げると2014年の研究で、被験者に1食あたり10g、20g、40gのたんぱく質を摂ってもらい、身体の反応が調べられました。20gと40gの条件で筋たんぱく質の合成が有意に高まったのですが、20gは49%アップに対して、40gでは56%アップと、効果に目立った違いがありませんでした。

こういった研究結果を受けて、1食あたり20〜30g程度で効果は頭打ちになり、それ以上たんぱく質を摂っても無駄になってしまうと考えられるようになったのです。

しかし、2023年の研究で1食あたりの限度があるという考えが改められます。この研究では、25gと100gを摂った場合の反応を観察して、100gの方が筋たんぱく質合成が明確に高まると報告しました。

以前の研究と違った結論になった理由は時間にあります。以前の研究では食後の反応を4時間観察したのに対して、新しい研究は12時間にわたって観察し続けました。

食後12時間にわたって観察を続けると、たんぱく質を多く摂ったときには、筋たんぱく質合成が高い状態が長く続くことが確認されました。つまり、以前の研究で4時間では確認できなかった効果が存在したということです。

1食あたり100gのたんぱく質というのは非常に多いと言えます。この新しい研究結果を見ると、1食にたくさん摂るとたんぱく質が無駄になることは無さそうだと言えます。

筋トレの経験レベルや回復状況によって、この数字が変わる可能性は考えられますが、この研究では明確な上限も確認されておらず、たんぱく質を100g以上摂っても有効に使われる可能性もあります。

2021年に過去の研究データをまとめた論文では、たんぱく質摂取量を増やすと筋たんぱく質合成が高まると報告されており、特に高齢の方にはメリットを期待できます。

1食あたりの限界を調べる意味は?

1食あたりのたんぱく質が、どの程度まで筋たんぱく質合成に使われるのかを知ると、生活スタイルを考えるのに役立ちます。長時間勤務で食事をこまめに摂れないような人は、1回の食事でたくさんのたんぱく質を摂る必要が出てきます。

例えば、食事を摂れるのが1日に2回や3回に限定される人は、1回にたんぱく質を25g以上摂ると無駄になってしまうと考えていると、筋肉を増やせないのではないかと心配になることもあるでしょう。

そういう心配から1日のたんぱく質を合計50gや75gまでに制限してしまうことになると、実際に筋肉を増やせるペースに悪影響が出る可能性も考えられます。やや極端な話に聞こえるかもしれませんが、実際にはこのように生活の制約を増やすような情報が広く発信されています。

こういうときに、たんぱく質の摂取量を制限しなくても構わないと知っていると、自分に合った食生活を組み立てて目標達成まで継続しやすくなるはずです。

たんぱく質の効果を得るには、1回あたりの摂取量を神経質に考える必要はありません。もし、こういった情報に縛られる思いをしていたら、不必要な制約なので、自分の生活スタイルを優先して考えましょう。

身体が使える以上に摂ったら何が起きる?

1回の食事でたんぱく質をたくさん摂っても、筋たんぱく質合成を高める効果があることは分かりました。しかし、すべてのたんぱく質がいつも筋たんぱく合成に使われるわけではありません。筋たんぱく質合成に使われなかったたんぱく質はどうなるのかという疑問が残ります。

炭水化物の場合は、エネルギー源として使われなかった場合、グリコーゲンという形で体内に蓄えられます。脂質は脂肪組織に蓄えられます。しかし、たんぱく質は貯蔵する仕組みがありません。

体脂肪になる?

わたし達の身体には、たんぱく質と炭水化物を脂肪酸に作り変える仕組みがあります。そのため、たんぱく質を体脂肪として蓄えることは不可能ではありません。ただ、たんぱく質を体内で脂肪酸に変換するのは効率が悪く、実際に起きることはあまりありません。

たんぱく質を脂肪酸に作り変えるには、まずアミノ酸に分解し、さらに不要な部分を取り除く必要があります。そして、材料部分だけになった状態から脂肪酸に変換されます。そのあと、新しく作られた脂肪酸が脂肪組織に運ばれれば身体に蓄えることができます。

こういった仕組みが体内にはあるのですが、通常の食事ではたんぱく質だけでなく炭水化物と脂質も摂取します。結果として、体内に脂肪酸が十分にある状態になるので、手間をかけてたんぱく質を脂肪酸に変換する必要が生まれません。つまり、仕組みとして可能ではあるものの、実際にはあまり起こらないということです。

例えば、炭水化物と脂質の摂取量を極端に制限しつつ、カロリー収支がプラスになるところまでたんぱく質を摂ると、理論上はたんぱく質が体脂肪として蓄えられる可能性はあります。消費されなかった分が脂肪酸に変換されるということですが、現実的なシナリオではありません。

たんぱく質が燃焼されたら無駄になる?

たんぱく質をたくさん摂ると筋たんぱく合成が進むことは紹介した通りですが、たんぱく質をたくさん摂ると、かなりの部分が燃焼されることにもなります。

ただ、これをたんぱく質が無駄になったと考える必要はありません。たんぱく質をたくさん摂ると、身体に筋たんぱく質合成を高めるように刺激を与えていると捉えることができます。

たんぱく質が燃焼されているとしても、体内のたんぱく質代謝全体で見ると、大切な働きをしているということです。

たんぱく質合成がどの程度まで高まり得るのかは、男性・女性ともにまだ研究が進められており、明確な答えが出ていません。

ただ、摂取したたんぱく質がすべて筋たんぱく質合成に使われていなかったとしても、それを無駄と捉える必要はないはずです。すべてが筋たんぱく合成に使われないのが自然なことなのでしょう。

三大栄養素のバランスが重要

たんぱく質は身体を作るのに欠かせない栄養素であり、冒頭で紹介したように健康な人であれば多めに摂っても身体に悪影響を与える心配はあまりないようです。ただ、摂れば摂っただけ良いことがあるわけでもありません。

たんぱく質の必要量は人によって変わります。筋トレの効果を最大化するのか、持久系の運動を優先するのか、健康維持を重視するのかといったことが関係します。年齢によっても必要量は変わりますし、自分にとって長く続けやすい食生活はどういうスタイルかを考えることも必要です。

長年筋トレを続けてきて、少しでも効果を伸ばしたい人にとっては重要であっても、他の人にとっては優先度が低くなるかもしれません。

たんぱく質の摂取量を決めるときには、1日のカロリー摂取目標の中で三大栄養素の配分を考えることになります。自分に必要なたんぱく質を確保した上で、残りは炭水化物と脂質でエネルギーを摂るもので、それぞれの栄養素をバランス良く摂るのが理想です。

三大栄養素のバランスが良くなると、それを摂るための食品の配分も良くなり、結果的にビタミンやミネラルをバランス良く摂ることにもつながります。

この投稿の重要なポイントは、たんぱく質を1回の食事でたくさん摂っても構わないということです。実際にたくさん摂るのが良いかは人によって変わりますが、1食あたり25gまでといった数字に縛られる必要はありません。自分に合った食生活を優先して考えましょう。

マクロファクターはこういった研究を踏まえて三大栄養素の摂取目標を設定するように設計されています。ご自身の運動習慣や好みを入力すると、それに合わせたたんぱく質摂取量が提示されます。

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